習慣化オタクが実践する「ルーティンを作らない」という逆転発想の効果とは?

この記事で学べる内容

  • なぜ習慣化オタクが「ルーティンを作らない」ことを提案するのか
  • スポーツ選手が実践する「ルーティンを避ける」メンタル戦略
  • ルーティンが招く「全崩壊リスク」の失敗談
  • 習慣のミニマル化で得られる3つのメリット
  • 習慣化が本当に必要なのかを見極める判断基準

習慣化を指導している立場でこんなことを言うのは矛盾しているかもしれませんが、今回は「ルーティンを作らない」という選択について考えてみたいと思います。

実は、習慣化も万能ではありません。それは人生を豊かにするための一つの手段に過ぎないのです。だからこそ、習慣化しようと思っていることが本当に習慣化する必要があるのか、一度立ち止まって考えてみることが大切です。

習慣化の落とし穴:労力とリスクのバランス

皆さんも実体験でご存知のように、習慣化は決して簡単なことではありません。心理学の研究では、新しい習慣が定着するまでに平均66日かかるとされています(フィリッパ・ラリー博士の研究)。しかも、その成功率は決して高くありません。

だからこそ、限られたエネルギーを本当に重要なことにだけ集中させる必要があります。何でもかんでも習慣化しようとすると、結果的にどれも中途半端になってしまうリスクがあるのです。

スポーツ選手が教えてくれる「ルーティンを作らない」戦略

興味深いことに、一流のスポーツ選手の中には「あえてルーティンを作らない」と公言している人が多くいます。

彼らがこの選択をする理由は明確です。ルーティンが崩れたときのメンタルへの悪影響を避けるためです。スポーツの世界では、メンタルの状態が直接パフォーマンスに影響します。ルーティンに依存しすぎると、それが崩れたときに大きなストレスとなり、本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。

この考え方は、私たちの日常生活にも十分応用できる賢い智恵だと思います。

完璧主義が招いた「全崩壊体験」

恥ずかしい話ですが、僕自身も過去に大きな失敗を経験しています。

以前の僕は、ルーティンを組むことに夢中になっていました。朝起きてから夜寝るまで、1日のスケジュールを分刻みで決めていたのです。一見すると効率的に見えますが、これには大きな落とし穴がありました。

ドミノ倒しのように、一つが崩れるとすべてが連鎖的にすべてが崩壊してしまうのです。特に朝の早い段階でルーティンが崩れると、その日は完全に「崩れた1日」として諦めモードに入ってしまい、やる気もテンションも一気に下がってしまいました。

この経験から学んだのは、完璧すぎるシステムは脆弱だということです。

習慣をミニマルに変更してみた

現在の僕は、アプローチを180度変えました。ルーティンを作るのは「起きてからの1時間だけ」に限定しています。

加えて、時間単位でルーティンを作るのではなく、時間内に行うタスクだけを決めて実行しています。

この1時間のルーティンが終わったら、その日の状況に応じて柔軟に行動を決めています。残りの23時間はあえてルーティンを作っていないということです。

こうすると、急な予定変更があっても、大切な朝のルーティンは既に完了しているので、メンタルが崩れることがありません。

習慣のミニマル化で得られる3つのメリット

この「習慣のミニマル化」によって、以下の効果を実感しています。

1. 精神的な負担の軽減 管理する量が減ることで、使うリソースやストレスが軽減され、心に余裕が生まれました。

2. 労力の効率化 本当に重要な習慣だけに集中できるため、習慣化の成功率が格段に上がりました。

3. 柔軟性の向上 予期しない出来事にも動じることなく、臨機応変に対応できるようになりました。

選択と集中の重要性

心理学者のロイ・バウマイスターが提唱した「意志力の有限性理論」によると、人間の意志力には限りがあり、使いすぎると消耗してしまいます。つまり、あまりにも多くのことを同時に習慣化しようとすると、かえって失敗のリスクが高まるということです。

また、行動経済学者のダン・アリエリーの研究でも、選択肢が多すぎると決定疲れを起こし、最適な判断ができなくなることが示されています。

慣化するかどうかの判断基準:3つの質問

これまでの話を踏まえて、習慣化するかどうかを判断する実用的な基準をご紹介します。以下の3つの質問に答えてみてください。

質問1:「この行動をしないと、本当に困ることが起きますか?」

例えば、歯磨きをしないと虫歯になり、健康と社会生活に支障をきたします。一方で、毎日同じ時間にSNSをチェックすることは、しなくても特に問題は起きません。

習慣化すべきは「しないと明確な影響がある行動」です。

質問2:「この行動は、あなたの最も重要な目標に直結していますか?」

目標が「健康的な体を作ること」なら運動習慣は直結しますが、「読書」は目標からかけ離れているかもしれません。

習慣化のエネルギーは、最も重要な目標に直結する行動にだけ使いましょう。

質問3:「他の方法で同じ効果を得られませんか?」

例えば、毎日30分の読書を習慣化する代わりに、気が向いたり、時間が余った時にまとめて読む方が自分に合っているかもしれません。オーディオブックを通勤時間に聞く方が効率的な場合もあります。

習慣化は手段なので、他に良い方法があればそちらを選択してもOKです。無理にすべてを習慣にする必要はないのです。

この3つの質問で「はい」が2つ以上なら習慣化を検討し、1つ以下なら別のアプローチを考えてみることをおすすめします。

まとめ

  • 習慣化は手段であり、目的ではない
  • すべてを習慣化する必要はなく、本当に重要なものを選別することが大切
  • スポーツ選手のように「ルーティンを作らない」選択も有効な戦略
  • 完璧なルーティンは全崩壊のリスクを伴う
  • 習慣のミニマル化により、精神的負担軽減・労力効率化・柔軟性向上が実現
  • 習慣化するべきか判断する3つの質問

習慣化は人生を豊かにする素晴らしいツールですが、それに縛られすぎては本末転倒です。時には「習慣化しない」という選択も、賢明な判断なのかもしれません。

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